チェルノブイリと福島原発 レポートその2
3.福島原発の事故後の対応
福島原発から半径10km圏内の地域については立ち入りが禁じられた(4月9日時点)。しかし、様々な観点から考えると、20~30kmは立ち入りを直ちに禁止すべきである。また、現在明らかにされた福島県の汚染度から考えても、80km圏の子供たちは即刻学童疎開をさせる数値であり、チェルノブイリでもそのようなところに人は住んでいない。アメリカは、自国の避難基準は80kmであるため、すぐに自国民に対して80km圏外に出るように伝えている。 4.チェルノブイリ原発に関する情報の公開 チェルノブイリ原発で事故が起こったが、旧ソ連の秘密主義のため、事故が起きたことが公表されることはまったくなかった。事故が発生して3年が経ってやっと、情報公開を求めて立ち上がる科学者が現れた。その方法は、当時のソビエト連邦の大統領であったゴルバチョフ元大統領への直訴という、いわば命がけの最終手段であった。 5.福島原発に関する情報の公開と、福島県民の現実 チェルノブイリ原発とは異なり、事故が起きたことは公表されている。度重なる放射能アドバイザーの洗脳によって、福島県民は放射能を安全だと思っている。しかも、誰かがマスクをしていると、「放射能を怖がってる臆病者」と避難されるほど、放射能のことに関してはほとんど何も知識がない。加えて、東北地方の人たちは人との絆が強いため、避難のためにばらばらになってしまった方のショックが大きい。 被災者に届けられる物資のうち、食料は炭水化物が多いため、ビタミン不足になりやすいのが現状。 6.退避区域にある物について 退避区域にある物(住宅や車など)は放射能により汚染されている。そのため、持ち出すと放射能による被害を拡散させることになるため、チェルノブイリでは一切持ち出すことができなかった。また、汚染されると、家などの財産も一瞬にして無価値になる。強制移住になっている地域には、もう戻ることは不可能だと思うが、政府が最後通告をだしてあげないので、人々は一縷の希望を持ち続けて避難所にとどまっている。 7.原発事故と経済 過去にリーマンショックが起こった際に、当時の麻生元総理大臣は「100年に1度」という表現を使用したが、国の経済が破綻するということはそんなレベルには収まらない。 チェルノブイリ原発の事故でベラルーシの経済は完全に破綻し、ベラルーシルーブル、ロシアルーブルなどが下落しお金が無価値になってしまった。1カ月働いても、オレンジ一袋買ったらもう給料がなくなるほどのインフレだった。お金が無価値になるということは年金は出ないのと同じで老人たちは収入を失ってしまった。旧ソ連は住宅だけは保証されているので、人々はホームレスにならずにすんだ。しかし、住宅の支払いがあるので、日本では家を追い出されもっと深刻になるはずだ。放射能の基準をゆるめれば、世界中からの信用をなくし、自ら風評被害を拡大する。誰も日本の食品を購入する必要がなく、だんだん日本の経済も落ち込んでいく。 1.チェルノブイリの子供たちを北海道にステイさせると元気になる理由 チェルノブイリ事故で汚染された土地に住んでおり、しかも自給自足が90%に達する。食べるものが汚染されているため、身体に放射能が蓄積されて体調が崩れてしまう。北海道で1ヶ月間ステイさせると元気になるが、その大きな理由は、汚染されていないものを食べることにより、体内から放射能を排出し、酵素やビタミン、ミネラルが新鮮な野菜や果物から補給され、DNAの修復のスピードが速まる。 また、汚染された現地から離れることでメンタルのリハビリになるのも大きな効果を生んでいる。 ●北海道と泊発電所 1.原発を作るうえでの政治的システム 原発の1号機を建設するには、最初に建設予定地の周辺市町村からの許可が必要となる。周辺市町村からの許可が出ると、次にその市町村がある都道府県の知事の許可が必要となる。知事が許可を出すと、原発の1号機が建設可能となる。 2.泊発電所から道内主要市町村までの距離 半径30km以内に小樽市、半径50~60km以内に札幌市が含まれる。なお、小樽市や札幌市は泊原発の周辺市町村に該当しないため、原発建設の可否においては蚊帳の外である。つまり、言論統制しやすい過疎の村や町をおさえるだけで、原発は建設できることを考え付いた人たちがいる。 3.事故が起きた際の逃げ道の問題点 当丸峠は冬期通行止めであるため、泊原発方面に向かう国道しかないという大問題が発生する。 ●原子力発電が抱える問題 1.上流工程 原子力発電の燃料となるウランを採掘しているネイティブな人たち。ウランの採掘は露天掘りで行われており、採掘者は何の知識も与えられないまま採掘を行っているため、常日頃から放射線を浴び続けている。 また、採掘の際に出た残土からも放射線が発せられ、周囲を汚染しているが、地元民にはなんの対策も取られず、もちろん、何の保障もされない。私たちが「クリーンエネルギー」と推奨している間にどれほどの子供や住民たちが苦しんでいるか、わからない。 2.中流工程 いわゆる、原子力発電所そのものが引き起こす可能性がある問題。今回の福島原発事故が該当する。 3.下流工程 世界的に問題になっている原子力発電所から出る使用済み核燃料(高レベル放射性廃棄物)の処理や、それに関する問題。六ヶ所村にある再処理工場や幌延町にある幌延深地層研究センターが該当する。プルトニウムの半減期2万5千年といわれている。 プルサーマルの燃料が100年間冷やさないと安全な温度にならないという問題もここに含まれる。 ●原発関連企業や団体の本気 1.タブーを破る 2011年2月26日(※)東芝が読売新聞に、原発事業に関するカラーの全面広告を出した。原発反対運動でも、原発で設けている企業名を表に出すことはタブーであり、すぐに圧力がかけられつぶされてしまうものだったが、自分たちで表舞台に出てきたと思い、ほぞをかむような思いでみた。 ※遡ると、2008年から日本経済新聞にシリーズ広告を掲載している。 http://www.toshiba.co.jp/nuclearenergy/topics/image/20090714.pdf 1.全面広告の内容 広告の内容は「原発は安全である」という内容だったが、2011年3月11日の東日本大震災により事故が起こってしまった。 東芝が出した全面広告は一般の方の多数のページに転載されており、インターネットで検索することで見ることができる。 2.原発を誘致させる 原発や関連施設の建設候補地に挙がるのは過疎地であることが多い。そのほうが地元住民の説得など、建設までの障害が低い。またこのような農産漁村では、一人ひとりが自立的に意見を言うことは考えにくく、地元のキーパーソンを「原発誘致派」にしさえすれば簡単に、世論操作できる。 「きれいな温泉施設ができる」「土地の値段があがる」「科学者がやってきて、地域のレベルもあがる」「若い人が戻ってくる」などのうたい文句は過疎の町にとって、信じたい文言が並んでいる。 ●原発の存在に対する認識 1.地域によってずれがある 原発に対して、東北地方の住民は存在を認めてしまっている感がある。それとは対照的に、伊豆地方(浜岡原子力発電所がある)の住民は原発の存在に恐怖感を抱いているが、いったん出来上がった原子力産業の構図を崩して原発を止める方法がなかなか思い浮かばなかった。 2.電力会社に思いを伝えよう 電力会社に電話をして思いを伝えるだけでも違う。電力会社が「何もないからそのまま運用してもいい」と思われてはいけない。原発の存在が嫌だと意思表示をする必要がある。 3.原発を止めるには 原発の建設可否が政治の場で行われる以上、政治の場で止めるしか方法がない。
by ravenono
| 2011-07-12 02:54
| KOCOMATSU
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