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アイヌである事

 この時期にアイヌエカシをKOCOMATSUにお招きしたのは、とても意義深い事と感じています。

 開始時間の少し前にポンペさんが来られ、暫らく気ままにお話しをしながら参加者の皆さんを待ちました。ポンペという名前が不思議で仕方なかったので、率直に尋ねてみました。

 末っ子だった事もあって、小っちゃくて、可愛いという意味でした。生粋のアイヌであることも教えて頂きました。この集いはとても大切なものになりました。

 皆さんが集まるまでに、川辺に行ってイタドリを採って来る事にしました。イタドリを見つけて採集する時、ごく自然に感謝を現す手の動きを見て、ハッとしました。

  教えでも儀式でもパフォーマンスでもなく、彼は大地と繋がり、自然に深い敬意と感謝をしながら生きている事が良く良く伝わって来ました。自分の自然に対する姿勢が、あまりに薄っぺらな事に気付かされ、恥ずかしさでいっぱいになりました。

 自分なりに自然を大切に思って生きて来た筈なのですが、それは言葉や知識の要素が大きかったのだと痛感しました。自分も子供の頃にはイタドリで遊んだり、かじって喉を潤した事もありました。ですが、感謝して切り取ったことは一度もありませんでした。

 この原稿を書きながら、ポンペさんの仕草を真似て見ました。そして深い感動に包まれました。涙が次々と溢れてきます。この素朴な動きのなかに、身体と心が同時に満たされ、自然と一体化する不思議な感覚があります。

  久々に純粋な感動でいっぱいになっています。言葉にすると、何処かしらひずみが出て来そうなので、諦めます。私が願っていた事、心が求めていた事が、何気ないイタドリの笛作りの準備に出掛けた川辺で待っていたのでした。

  知識でも情報でもなく、生きたアイヌエカシとの時間そのものこそ、今回どうしても分かち合いたい事であり、それは最初の場所で待っていました。

  イタドリを集めてKOCOMATSUに戻り、ポツリポツリやって来る方々に、アイヌのイタドリの笛作りを伝授し、次の人に伝えます。
この笛は熊除けなどに使われていたものです。

  やがてアイヌ料理の準備が始まりました。この間に、熊の事、狐の事、野草の事、屯田兵達との様々な出来事。蝦夷地の厳寒の世界が和人とアイヌを決定的に二分した事、ニリンソウとトリカブトの事、住居の事、食事やおやつや子供達の遊びの事、その他にも沢山のお話しを聞く事ができました。

  それらは全て、ポンペさん自身が体験して来た事でした。熊との遭遇体験も、興味深いものでした。出来上がった料理を頂きながら、 ゆっくりたっぷりお話しを伺い、のんびり談笑した後にポンペさんの演奏や歌が始まりました。(つづく)
by ravenono | 2011-07-28 02:46 | KOCOMATSU
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