カテゴリ:光の移ろい( 7 )

ピンクしか考えられない

ピンク以外に考えられない!

先日ステンドグラス作家の石戸谷氏のKOCOMATSU初お泊まりが実現しました。作家が自分の作品とじっくり向き合う機会は意外と少ないものです。

彼との気ままな会話の中で、以前から密かに目論んでいたKOCOMATSU入口のドアのガラスにステンドグラスを嵌め込むのはどうだろうかと持ち掛けました。

何と無くできたらいいんだけど程度の話を電話で持ち掛けてはいました。けれど、なかなか具体的な動きになりませんでした。時がまだ熟していなかったのです。

今年の8月8日はKOCOMATSU4周年でしたが、特別な催し物もせず静かに過ごしました。特別な呼び掛けがなくても、ふとした時に光や響きの中で過ごしたくてやって来ることができるスペース。それがゆっくりと実現し始めているのは嬉しいことです。

すでに5枚のステンドグラスが嵌め込まれたスペースに、さらに3枚のステンドグラスを設置して8枚にするのはどうだろうか…そんな話を持ち掛けました。透過する透明なひかりで十分満たされているという思いがありながらも、可能性を探って見たいという思いもありました。

そこにはKOCOMATSUの響きとひかりの世界をより豊かに感じて過ごせるようにしたいという思いがありました。

ですが、すでに全体のイメージが出来上がっている中に、敢えて何かを加えるのはなかなか微妙です。大失敗になるか、大成功か?統一感のあるステンドグラスにするか、敢えて冒険するか。

これは思った以上に緊張感のある選択です。ドアにはめ込んでしまうので、簡単に外せばいいとはなりません。むしろ、いままでのどのステンドグラスよりも身近で、開閉という動きのある場所に設置されるのです。

まずは石戸谷氏との対話から始まり、無難か冒険か、はたまた挑戦的かの選択です。これまでは、どちらかと言えば落着きや静寂さの中に心地良さが漂う印象でした。

まずは、製作に取り掛かるのか、やめるのかの決断。次は、どんなスタンスで取り組むのか。思った以上に集中し、緊張感のある時間が流れました。なんども、イメージが浮かび上がっては消えて行きました。自分なりのデザインイメージがまとまり始めた頃、連絡が入りました。

見積りが届き、どうしますか?と。色ガラスなどにお金を使わず、うまいものでも食べるとか、旅行にでも行くとか…。色々な思いはあるけれど、沈みゆく夕陽の美しさを眺めるために、自転車を走らせていた僕の生き方は変わっていませんでした。

揺らめき、満ち溢れ、移り行くひかりの中で木々の響きに包まれるじかん。その喜びと幸せを楽しむ人々との交流。

光の波を浴び、木々の響きの波を浴びるスペース。ここで育まれた感性が、新しい音色を生み出し、新しい音の流れと響きを生み出してくれるだろう…。 もう製作をお願いするしかない。そして、これまでのイメージを崩さないデザインではなく、新たなエネルギーを生み出すひかりがいい。

具体的な打ち合わせの時に、彼がひとこと「ここにはもう、ピンクしかない!」と。ショッキングピンク?!KOCOMATSUのイメージが変わる?

僕自身も、ピンクとまで言い切れないけれど、思い描いていた色彩があって、彼がそう思うのなら、それで行こうという流れになりました。

はてさて、どんな世界がやって来るのか…差し込む光の中で、躍り出したくなるのかも知れない。光を浴びているうちに、僕たちの世界の豊かさと美しさに誘なわれるような…。

勝手にイメージを楽しんで、組み込まれたら、そのひかりを存分に味わう。さらに、時々刻々と変化し、混じり合い、季節や天候とともに変化し続ける世界を楽しめることでしょう。

KOCOMATSUは静寂の中に歓喜が訪れ、新しい歌を歌い始めることになります。新しいスペースになる前に、これまで馴染んできた光の世界を楽しみたい方は、どうぞご自由にお訪ねください!
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by ravenono | 2014-09-08 19:47 | 光の移ろい

移ろい続ける

 KOCOMATSUを訪ねてくださるみなさん。来訪の30分前にはお知らせくださると、室内の暖房を入れてお待ちします。冬はさすがに寒いですから、来られた時に温かくしてお迎えしたいと思っています。

 さほど広くはないのですが天井が高いので、温まるのに時間がかかります。よろしくお願いします。
冬のステンドは、どこか不思議な感覚があります。周囲の変化、背景の変化で、そこにあるものの意味や感覚が違って来るのでしょう。

 だとすれば、生きると云う動きの中では、常に変化が起こり続けているとも云えそうです。ある瞬間に感じたものを、持ち続けながら、その瞬間の意味もまた変化し続ける。そういう変化の断片を積み重ねながら一枚の絵を描いている。そんな人生の感じ方もあるのかもしれません。
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by ravenono | 2010-12-16 13:36 | 光の移ろい

冬の光を待つ

ステンドグラス見学会は、土砂降りの雨と風の中でした。これは光を楽しむのはあきらめようというスタートでした。お一人が体調不良で欠席された以外は全員参加。KOCOMATSUはいっぱいになりました。

 オーロラ写真のIさん。酵母パンのルシルさんにも特別参加していただき、見学会は満足感いっぱいになりました。絶望的だった天候にもかかわらず、変化の激しい雨空は様々な雲の動きを伴い、当然ながらステンドの光も短時間で多彩な変化を見せてくれました。

 それは素朴なラブフルートの音色と不思議な繋がりを見せてくれましたから、集われた方々は感動の声をため息が漏れていました。クルミと杏子入り、パンプキン、チーズ入りの三種のパンとミネストローネに焼きりんごとレーズンのデザート。楽しい歓談と食事にお茶の時間。嵐の中に差し込んだ柔らかな光と一緒に過ぎた時間は別世界でした。

 ステンド作家I氏の一枚一枚の作品にまつわるお話とフルートの音色で纏められたのですが、最後は冬の光とステンドグラスの輝きが楽しみですね...ということになりました。

 確かに、冬の光はこれまた別ものですから、輝きの変化は一層不可思議さに満ちたものになりそうです。寒さも大雪も、なかなか乗り越えるのは厳しいものがありますが、一息つくときに温かいお茶と心地よい光のデザートがあると思うと、ちょっと楽しみでもあります。

 おそらく光の変化に伴いステンドの輝きも変わるでしょうし、雪の反射が意外な形で飛び込んできたり、太陽と降り注ぐ雪の結晶が光の舞いを描き出してくれるのだろうと思います。寒さの中だからこそ、降り注ぐい色彩豊かな輝きが温かく優しく感じられるのだろうと思います。

 そんな空間で、その雰囲気に合ったお茶を飲み、時にデザートを楽しみ、会話を楽しむ。誰もが、暖を取るために自然とストーブの周りに集まってくる冬がそろそろ始まりそうです。
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by ravenono | 2010-11-06 14:32 | 光の移ろい

お茶と光の空間

 KOCOMATSUでお茶を楽しむ会が開かれました。太陽が、この日のために惜しみなく光を注いでくれました。しかも、雲たちとの見事なハーモニーもありましたから、浮かんでは消え、消えては突如現れる。変幻自在なパフォーマンス見せてくれました。

 静かで穏やかでゆったりした流れに加えていただき、心が心地良さに浸っているのが良く分かりました。いっぱいのお茶をゆっくりと味わう。その静けさの中に、新鮮な発見があり気づきがありました。

 光の振る舞い膳のように参加された方の前に降り注いだ緑の光は、差し出された御菓子と一つとなって輝いていました。ただただ、時の流れの中の身を置いているだけで、たっぷりと満たされていく心。

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 差し出されたお茶と美しい所作を包み込む光たち..。身も心も楽しみ喜んでいるのが分かります。大地から生まれた自然茶の存在感は、こうして書きとめている時にもふと浮かび上がって来ます。

 音の響きで満たされたKOCOMATSUは、一変して、静かなお茶の場になりました。こういう場や時間を大切にする生活がどんなに満ち足りた歩みを生み出すものなのか、改めて受け止めることができました。

 様々なアプローチ、行き交う言葉の数々、様々な情報や手段を駆使して忙しく動き回ることに慣れきった生活に、いつどんな風に心底休む空間と時間を差し出せるのでしょう。静けさそのものの中にたたずむことの大切さが、いつか分かち合えるだろうか..。

 何もなくても良い、そこにいるだけで満ち足りてくる。そんなKOCOMATSUでのお茶会。また、いつか開かれるかもしれません。
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by ravenono | 2010-08-04 17:33 | 光の移ろい

KOCOMATSUステンドグラスのコメント・石戸谷準

JUN ISHIDOYA STAINEDGLASS
石戸谷 準  ステンドグラス

高窓三連作『ワタリガラスの神話』 
                    ―「最初の光」 400h×400w
                     ― 「受胎」   400h×300w
                     ― 「開花」    250h×250w

この三連作は、北米先住民に伝わる「ワタリガラスの神話」からイマジネーションを得て制作しました。
建物の八面の内、南~南西~西の面にそれぞれ「最初の光」~「受胎」~「開花」の各ステンドグラスが取り付けられており、青系~緑系~赤系の配色を計画しました。
各々の色彩は主題に即しているのはもちろんですが、方向による太陽光の特質を考慮したガラスの選択をしています。

作品の大きさも大~中~~小と変化していますが、これもまた方向による太陽光の変化と建物内部の空間の大きさを考慮して決定したものです。

「最初の光」  
ワタリガラスの姿を光のイメージに被せて抽象的に表現するつもりでしたが、かなり具象的になってしまいました。どう見ても鳥ですねえ~。“何もない世界”を表現するために作品の半分を一枚の青ガラスが占めています。右側の緑系ガラスは次の世界「受胎」へと繋がる予兆です。

「受胎」    
まだ動物がいない植物だけの世界です。最初の動物はいつどのようにして生まれたのでしょうか?おそらくは天上の種子が地球に舞い降りて、大地が受胎し母になったに違いありま  せん。多くの神話が語り継いできたことを、最新の科学が証明しようとしています。

「開花」    
植物は動物の成長を助けてきました。現在これほどまでに動物達が地球上に繁栄したのは、植物の支えがあったからです。「ワタリガラスの神話」では、“木はすべてのものの家”と言い、また“木々が私達人間を見ている”とも語っています。美しい花に見とれ、その香りに惑わされたとしても、暗い地中を這う根の存在を忘れてはなりません。

正面窓『森の音』 400h×1200w

この作品が設置されている窓は、建物の入り口ドアを開けると真正面に見えるところに位置しています。訪れる人の最初の印象を決定付け、その後の滞在中にも本人が意識するしないに関わらず影響を与え続けます。音楽で言うなら主旋律を奏でる位置ですが、僕はあえてこの作品に静かな低音部の伴奏を任せることにしました。

作品は、音に関する3つのテーマに分割して表現されています。

「吸収」 
音は波。波が消えれば音も消える。このはかない音を残すために人間は様々な方法を考え付きました。しかし実は、それ以外のところにも音は残されています。植物や土や壁、床、天井、ガラス窓にも・・・。

「反響」   
音は光と同様、物に当たってはね返されます。直接鼓膜に当たる音と、どこかにぶつかってからやってくる音、そのわずかな時間的誤差が我々に空間の広さを認識させます。
        
「共鳴」   
全く違う物質でも、振動数さえ同じなら強い共鳴を起 こすことができます。では、光が音に反応して共鳴を起こすことはあるでしょうか?
        
玄関横窓『海の音』 2145h×341w

この作品が誘うのは深い海の底です。太陽の光が届かない漆黒の闇の世界ですが、そこにも昼と夜、夏と冬の変化が届いているのではないかと思います。海中に咲く花が、夏の到来と日の出を告げています。窓の方角は東、朝一番の光がこの作品を透過して室内に射し込みます。

<溶け合う光>

ステンドグラスの楽しみ方は、ただ絵のように正面から鑑賞するだけではありません。
ガラスを透して室内に射し込んだ光が、床や壁に投影する様を眺めることも格別の楽しみ方です。
時に従い刻々と位置を変え、天候に応じて一瞬のうちに表情を変える様は、建物の内部にいながら外界との密接なつながりを感じさせてくれます。
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by ravenono | 2010-08-01 23:59 | 光の移ろい

時の流れ・光の移ろい

 KOCOMATSU建設のプランの段階で、丸太倶楽部のIさんが小さなカラーのガラスブロックをはめ込んでみるのもいいかもしれないと口にしました。デザインのポイントとしてのお話でした。

 調度数ヶ月前に、ステンドグラス作家のIさんに、あまり予算はないけれど可能な範囲で作品を作ってもらいたいとお話していました。Iさんが作家活動で苦戦し、最悪の事態もあるかもしれないという話を耳にしていたことも気になっていました。もう一つは、かつてガラス作品のコンペに参加する時Iさんの工房を丸二日借り切って、徹夜でなんとか締め切りぎりぎりで作品が完成し、なんとか間に合ったことがありました。

 その時の作品が、北海道地域の優秀賞をいただき、さらに全国展に出品し、さらに旭硝子賞をいただくことになりました。それなにり賞金をいただき、繋がっていた仲間に声をかけ祝宴の席にお招きし、お礼をして終わりました。

 ただ個人的にはIさんに、いつか恩返しをしたいと気にかけたまま10数年が過ぎてしまいました。このまま流されるのも嫌だと思っていたところに、Iさんの苦戦状況を伺い、この機会に少しは役立つかもという気持ちで、作品をお願いしたのでした。

 この流れが一つになって、カラーガラスブロックが本格的なステンドグラスのプランが始まったのです。Iさんは、最初自分でデザインしたら..と口にされました。しかし、私の気持ちは、なんでも自分で手掛けるところにはなく、Iさんが作りたいようにしてもらえたら、それが嬉しいとお伝えしました。それなりにモチーフやイメージをお伝えし、後は作家にゆだねるという形になりました。

 KOCOMATSUが8面体であることもあって、Iさんからのプランには予想外のステンドが用意されていました。小さな作品を自宅の居間に一つという最初の話が、KOCOMATSUの話になって、結果的に5枚の作品が組み込まれることになったのです。

 小野さんがやるのなら..という彼の言葉には、様々なニュアンスがこめられていたと思います。私がココで何をしたいのか..それなりにお伝えしていました。その思いに何らかの共感をいただき行動に移してくださったのです。

 こうした出会いと繋がりが、KOCOMATSUを作り上げたのだと思います。人を愛すること、繋がりを大切にすること、全力で惜しみなく取り組むこと、掛け値なしに大切だと思うこと与えることを喜ぶ生き方...。

 私は、恩返しをするどころか、むしろこれまで以上にたくさんのご恩をいただくことになりました。KOCOMATSUのステンドグラスを見上げ、差し込む美しい光を見つめ、部屋中が光の移ろいでいっぱいになる時、輝きへの感動とIさんの生き方への感動が一つになっているな..と感じます。

 Iさんの人生に注がれた光。その光が、ステンドの美しさを浮かび上がらせ、その心を動かし、懸命に作品と向きあう道を与えてくれたのでしょう。

 ステンドの美しさもさることながら、Iさんの生きる姿勢、光と輝きを喜び、楽しみ、感動を分かち合おうとする純粋な思い、美しさに繋がる心。彼の作品は、心の目でそれを見つめ、感じる人々への愛や祈りとなり、心の奥深くに純粋な感動と感謝を呼び起こしていくことと思います。

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by ravenono | 2010-07-24 14:12 | 光の移ろい

来訪者88人目・青くて背の高いステンドグラス

 まだちゃんとしたオープンをする前にKOCOMATSUの来訪者が88名ほどになりました。再度訪れた人の数は入っていませんが、140~150名ほどの方々をお迎えしていると思います。とても嬉しく、感謝しています。
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自宅の狭い敷地に建てられた小さなスペース.。来られた方々がどんな印象を持たれたかはわかりませんが、出来るだけゆったり過ごしていただければと思っています。

 自分の心が静かに、ゆっくりと本来の状態になっていくまで待つ。そんな場になって行けばいいかなという気持ちでお出迎えしています。

 KOCOMATSUには時計がありません。光の移ろいがあるだけの空間の中にいると時間という考えかたが薄らいでくるようです。年月で区切った人生の捕らえ方とは違ったところで自分を感じ始めるのかもしれません。

 今朝は早朝からトドマツ・ラブ・フルートのチューニングを手掛けていたのですが、ようやく調整を終えてKOCOMATSUで響きや音程の確認をしました。この時、正面右手のステンドの光がミズナラの床に不思議な水の流れを浮かび上がらせていました。

 その光をじっと眺めていると、揺らぎながら別世界の入り口へと誘っているような錯覚におちいりました。背高のっぽのステンドは一日の始まりを知らせてくれる場所に立っています。その輝きは静けさを伴いながら、ゆっくりと深い水の世界を描き出してくれます。ほぼ同系色でまとめられ、一見地味なステンドはひとたび光を受けて投影されるとき、神秘的な世界を浮かび上がらせてくれます。

 ブルーのガラスの両脇に配された微妙な色彩が絶妙なコントラストを生み出し、青の深みだけでなく爽やかさや透明感を感じさせてくれます。シンプルで奥深い..。

 このステンドはステンド作家石戸谷氏が、なぜステンドと関わり続けるのかという問いへの答えの一つのような気がします。日々刻々と光の移ろいは変化し続けていますが、いつかこの光を感じてみてください。
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by ravenono | 2010-07-04 11:45 | 光の移ろい