<   2011年 02月 ( 4 )   > この月の画像一覧

待っていてくれた....トドマツ・ラブフルート

 ここで待ってて良かった...。そういう一日が終わりました。数年前にフルートの注文を頂いていて、色々な事情があってそのままになっていたトドマツの太くて短いラブフルート。

 いろんな経緯で、手渡されずに残っていたフルート達が数本いましたが、その後の流れで旅立って行くものもありました。ところが、不思議に一本だけじっと残っているフルートがいました。

 そのフルートを依頼された方にも、今年の吹き初めの案内をお送りしていました。年賀も兼ねたものでした。やがて、その方から寒中見舞いが届きました。そして、「昨年30代になる息子を亡くしました。立ち直るにはしばらくかかると思います。」と記されていました。

 この文面に触れ、言葉をなくしました。どんなにか辛く、深い悲しみの中に突き落とされた状態で居る事か....。それでも、お葉書をくださった事で少しほっとしました。それ以来、Mさんの事を気にしながら過ごして居ましたが、ただ思っているだけでやり過ごすのはどうだろうと感じ、思い切って声をかけてみることにしました。

 Mさんは、KOCOMATSUの事を知りませんから、いつか心が動いた時に顔を見せてくださいとお伝えしました。今はとても、どこかに出かける気持ちになれないとのお返事でした。お悔みの気持ちをお伝えして電話を切りました。

 ところが、30分後にMさんから電話が入りました。今は、学生寮で働いているのだけれど、留学生の一人がとても気持ちが落ち込んでいるので、そちらに連れて行っても良いですか?という事でした。

 Mさんを待っている時、私の心は痛みと悲しみでいっぱいになり涙が止まりませんでした。愛する子供を失い、見送ること。それは、どうしようもなく、言葉を越えた激しい痛みと悲しみなのだと思います。その只中に居るMさんが思い切って動き出したのです。待っていて良かった。思い切って声をかけて良かった....。

 やがて二人がやってきました。そこにはMさんのために作ったラブフルートが待っていました。フルートはこの時を知っていました。待っていました。私は、フルートがしたいようにして過ごして来ただけでした。

 時間的な事を考えれば、もう受け取る可能性は消えかけて居ました。普通なら、あきらめてもやむを得ないような状況ではありました。しかし、それはこちら側の状況であって、Mさんにはそれなりの流れがありました。しかも、予想もしなかったご子息の死がありました。

 そのMさんは、自分の背負った悲しみと苦痛でいっぱいになっていたのですが、自分の隣で、不安や戸惑いを感じている若い留学生の事を案じて、動き出しました。トドマツのフルートは、長い間待ち続け、Mさんの痛みでいっぱいの胸元に寄り添うようにして旅立って行きました。

 また、留学生のTさんも、ドラムの響きやフルートの響きに包まれて、弾むような笑顔を見せながら帰られました。心が苦しくなった時、この場所の事を思い出したり、来られるときは訪ねて来るといいよと伝えました。ドラムを叩きながら、感じた「一歩!一歩!」というリズムが、不安でいっぱいの旅を支えてくれますように....。
[PR]
by ravenono | 2011-02-16 01:15 | KOCOMATSU

次々とやってきた

ゆっくり春を思わせるような光が差し始めているKOCOMATSU。室内が暖まるまでの時間が2時間から、1時間ほどに変わってきました。

 この週末には、昨年ある映画の中で耳にした笛の音が忘れられず、調べているうちに、ラブフルート工房に辿り着かれた方がご夫妻で訪ねてくださいました。愛の笛の絵本をお見せしたり、フルートの音色を感じてもらったりしながら時間が過ぎて行きました。

 初めて出会う音色と、並んでいるフルートたちの響きの違い。急に聞きわけることは難しいのですが、ふと最近なぜかしら仕上げて吹いてみようと思っていたアスナロのフルートの事を思い出し、試していただきました。

 すると、これがいいです!と。同行されたご主人も、いいね!と。ああ、この出会いのために、アスナロが私に呼び掛けて居たんだと納得でした。亡くした笛の代わりにと思っていたのですが、やはり求められる方々の手に渡るのがいいのだと思いました。

 旅立つフルートが決まったKさんは、この27日の奥井理ギャラリーで予定されているワークショップとライブ、さらに夕食会にも出席を希望されました。あこがれていた笛が決まり、待っていたようにワークショップに参加され、ライブで音色を聴き、美味しい食事を共にする。フルコースです。こういうスタートをされる方は、初めてかもしれません。

 ご夫妻と入れ替わるように、次の来客。実に、30数年ぶりの再会となりました。この詳細は、いずれラブフルート日記に書くつもりです。懐かしいあれこれを語らいながら、それぞれが辿った道を確かめ、これからの歩みに思いを向ける時間となりました。

 その談笑の中に、次の来客がやってきました。心地よいステンドの光の中に集まるその時間は、楽しいおもちゃ箱のように次々と展開していきました。一家四人の登場は、雰囲気を一変させ、赤ちゃんや幼児の存在が持っているエネルギーをたっぷり感じさせてくれました。

 即席の音遊びは、心地よい一体感で空間を満たしてくれました。持ち寄られた美味しい食べ物が、談笑をさらに楽しいものにしてくれました。買い求めたばかりのちっちゃなドラムを楽しむ子供に合わせてインディアンドラムを叩いたり、フルートを吹いたり、声を出したり、ディジュもどきも加わっての賑やかな時間でした。

 誰かを待っている空間.....トドマツの柱に囲まれたKOCOMATSUに、文字通り色んな生き物たちがやってきました。ふと立ち寄ってくださる気持ちが嬉しい。音色に誘われて訪ねてくださる方がおられることがありがたい。数十年ぶりで顔を見せてくれた心が心地よい。予定していた作業は、すっかり取り残されましたが、なんとも嬉しく楽しく心地よい時間を頂きました。
d0178682_12135685.jpg

[PR]
by ravenono | 2011-02-15 12:14 | KOCOMATSU

今朝のドラムと昨日のレッスン

 2月5日の朝、少し気温が高くてマイナス2度だったので、寒さに耐えられる時間だけ小さなドラムを叩きながら歌ってみました。正面右わきの背の高いステンドの光が長くのびて、立てかけてあるトンコリや壁に光を落して居ました。

 そのわずか光の時間がとてもよかった...。素朴なドラムの響きと響きわたる声。言葉というものがなくて、ただただ湧きあがってくるものだけが空間を満たす。

 過ぎ去った昨日と言う時間をそっと振り返り、今日という新しい時間の中で過ごす。わずかな時間だけれど、心が自分の居場所を確かめる。

 真冬の光が、ゆっくりと春の光に手を差し伸べる。そんな温かさを感じながら、生まれたての屋久杉のフルートに息を注いでみる。その温かく柔らかい響きの中に、いつまでも包まれていたくなる。

 今週は、立て続けに「私のフルートをお使いください」という方々がやってこられました。既に、何人もの方から同様のお申し出がありました。既に2月になりましたが、私の状況を遅れて知った方々が、わざわざマイフルートを持って来て下さいました。

 フルートの響きに包まれる時間は、こうした方々の思いと混じり合っているのだと思います。昨日のレッスンは、来られると知っていた方々以外に、意外な方、懐かしい方も集まりました。お一人お一人の音色を聴きながらの時間は格別のものがありました。

 この日は、40代、50代、60代、70代、80代とバランス良く顔を並べて、思うままに感じた事を言葉にしたり笛の音色にしたりゆ~ったりと過ごしました。時折差し込むステンドの光が心地よく、ポタポタ屋根の雪が解ける中、思い思いに家路に向かいました。

 KOCOMATSUがゆっくりと皆さんの場になっていくな~。そんな昨日が、次の明日に繋がっていくのだろうな....。
[PR]
by ravenono | 2011-02-05 12:12 | KOCOMATSU

削って、磨いて、丸くなる

 屋久杉玉磨き当日。天気が気になっていましたが、弱いけれど光が差し込んで軟らかい色合いでKOCOMATSUに光が満ちていました。

 この日は、二人のクリスタルボウルの演奏にラブフルートやインディアンドラムの響きも加わりました。今年最初のライブになります。

 盗難にあったラブフルート達を黙って待ち続けるわけにはいきませんので、今年最初のライブのためにラブフルートを手掛け(ご注文の方々のフルートと並行作業しながら)、なんとか3本のフルートが完成しました。

屋久杉に住んで、屋久杉の流木を持ってやってきたナーヤさん。何が起こるか興味津津で待っていると、布にくるまれたちいさな屋久杉の玉たちが、荒削りの姿で現れました。

 その中から、ひとつ選んで、黙々と磨き始めるのです。もうKOCOMATSUの中は屋久杉の香りでいっぱいです。親指の先ほどの小さな木の固まりを、何時間もかけてコツコツ磨くのです。ただ、それだけです。
いろんなことが心に浮かんで来ます。

 荒いヤスリから、次々と目が細かくなっていきます。これは、ほとんどいつものラブフルートとバードやボタンを作る時と同じです。多分、まんまるいものを本気で作ったのは、初めてだと思います。それとなく丸いものは何度かありますが....。

 何故ここでこんな事をしているのだろう。ちっぽけな屋久杉の玉を作るために、貴重な時間を費やしているのです。みんなでやっていると、そんな事をしている自分たちが面白かったり、楽しかったりしてきます。

 削って、削って、傷つけて。さらに削って、削って、だんだん丸くなる。そういう時間でした。何度も、何度も屋久杉を見つめ直しながら、誰もこれで完成!にはならない。果てしなく作業は続きます。

 でも、ここまでと決めなければ、玉はついにはなくなってしまう。ただ削るんじゃなくて、まあるくしていくのです。最後に、ちゃんときれいなまん丸になる瞬間は、凄く嬉しい。全部、最後まで自分が触って、磨いて、完成する。これが良いのです。

 最後はクリスタルボウルたちの響きと、完成したばかりのサプライズ屋久杉ラブフルートの響きが混じり合います。午後の部と夜の部があって、雰囲気は随分違いました。

 私は、午後の部と夜の部、それぞれに一つ作らせてもらいました。この二つは、ちょっとした宝物になりそうです。この日の玉磨きでも、新しい出会いがあって、何となく次につながっていくのでしょうね。
 
d0178682_154772.jpg

[PR]
by ravenono | 2011-02-01 00:39 | KOCOMATSU