人気ブログランキング |

KOCOMATSUステンドグラスのコメント・石戸谷準

JUN ISHIDOYA STAINEDGLASS
石戸谷 準  ステンドグラス

高窓三連作『ワタリガラスの神話』 
                    ―「最初の光」 400h×400w
                     ― 「受胎」   400h×300w
                     ― 「開花」    250h×250w

この三連作は、北米先住民に伝わる「ワタリガラスの神話」からイマジネーションを得て制作しました。
建物の八面の内、南~南西~西の面にそれぞれ「最初の光」~「受胎」~「開花」の各ステンドグラスが取り付けられており、青系~緑系~赤系の配色を計画しました。
各々の色彩は主題に即しているのはもちろんですが、方向による太陽光の特質を考慮したガラスの選択をしています。

作品の大きさも大~中~~小と変化していますが、これもまた方向による太陽光の変化と建物内部の空間の大きさを考慮して決定したものです。

「最初の光」  
ワタリガラスの姿を光のイメージに被せて抽象的に表現するつもりでしたが、かなり具象的になってしまいました。どう見ても鳥ですねえ~。“何もない世界”を表現するために作品の半分を一枚の青ガラスが占めています。右側の緑系ガラスは次の世界「受胎」へと繋がる予兆です。

「受胎」    
まだ動物がいない植物だけの世界です。最初の動物はいつどのようにして生まれたのでしょうか?おそらくは天上の種子が地球に舞い降りて、大地が受胎し母になったに違いありま  せん。多くの神話が語り継いできたことを、最新の科学が証明しようとしています。

「開花」    
植物は動物の成長を助けてきました。現在これほどまでに動物達が地球上に繁栄したのは、植物の支えがあったからです。「ワタリガラスの神話」では、“木はすべてのものの家”と言い、また“木々が私達人間を見ている”とも語っています。美しい花に見とれ、その香りに惑わされたとしても、暗い地中を這う根の存在を忘れてはなりません。

正面窓『森の音』 400h×1200w

この作品が設置されている窓は、建物の入り口ドアを開けると真正面に見えるところに位置しています。訪れる人の最初の印象を決定付け、その後の滞在中にも本人が意識するしないに関わらず影響を与え続けます。音楽で言うなら主旋律を奏でる位置ですが、僕はあえてこの作品に静かな低音部の伴奏を任せることにしました。

作品は、音に関する3つのテーマに分割して表現されています。

「吸収」 
音は波。波が消えれば音も消える。このはかない音を残すために人間は様々な方法を考え付きました。しかし実は、それ以外のところにも音は残されています。植物や土や壁、床、天井、ガラス窓にも・・・。

「反響」   
音は光と同様、物に当たってはね返されます。直接鼓膜に当たる音と、どこかにぶつかってからやってくる音、そのわずかな時間的誤差が我々に空間の広さを認識させます。
        
「共鳴」   
全く違う物質でも、振動数さえ同じなら強い共鳴を起 こすことができます。では、光が音に反応して共鳴を起こすことはあるでしょうか?
        
玄関横窓『海の音』 2145h×341w

この作品が誘うのは深い海の底です。太陽の光が届かない漆黒の闇の世界ですが、そこにも昼と夜、夏と冬の変化が届いているのではないかと思います。海中に咲く花が、夏の到来と日の出を告げています。窓の方角は東、朝一番の光がこの作品を透過して室内に射し込みます。

<溶け合う光>

ステンドグラスの楽しみ方は、ただ絵のように正面から鑑賞するだけではありません。
ガラスを透して室内に射し込んだ光が、床や壁に投影する様を眺めることも格別の楽しみ方です。
時に従い刻々と位置を変え、天候に応じて一瞬のうちに表情を変える様は、建物の内部にいながら外界との密接なつながりを感じさせてくれます。
by ravenono | 2010-08-01 23:59 | 光の移ろい
<< お茶と光の空間 響きでいっぱい >>