KOCOMATSUでミズナラ・ラブフルートを吹いた時間

  大切なものが自分のそばから居なくなった。あまりにも突然の出来事で、多分自分の感覚は凍りついているのかもしれないと探ってみたけれど、酷く冷たくはなっていないことが分かりました。

 事態をちゃんと受け止めきれていないからなのか、静けさだけが自分の中にあるような気がします。自分の足元が根こそぎ奪われる。そういう体験を、どれだけ辿ってきたか...。その時自分はどこに立てばいいのか....。

 そこに起こる出来事が持っている真意(深意)を注意深く見詰めること。多分強烈な喪失感や孤独の中に置かれてきた自分が、自然と感じ、辿り着いた心の場所があるのかもしれません。

 何かがそれを与え、それを奪う。そして自分の心の奥深いところにやってくる。そういうことが、今も起こっているような気がします。彼ら(フルート達)決して自分が作り上げ、所有している物などではないことを、改めて確かめる時なのかもしれません。

 それがなぜそこにあるのか。それが何故ラブフルートなのか。これは出会って以来変わらず思い巡らしてきたことでした。多分自分が認識し、言葉にしてきた、その奥にある実質へと招かれているような気がします。

 そんなあれこれを静かに思いつつ、一人の時間にKOCOMATSUに入り、残されたフルート達にじっくりと息を注いでみました。それぞれの木々の響きを確かめながら、誰の手に渡るか決まっていないけれど作りたくなって手を動かしてきたミズナラのラブフルートに息を注いでみました。

 その響きに包まれているうちに、静かに、うっすらと涙がみじみました。自分の心の奥底に悲しみがあるのだろうかと思ったけれど、そうではなかった....。そこに浮かび上がった響きの美しさに心が震えたのでした。

 ラブフルートに息を注ぐ時、そこには自らの存在の始まりがあり、今の瞬間があり、これから起こることへと繋がって、そのすべてを感じて過ごす瞬間なんだよ....そんな事をお伝えしレッスンを続けて来ました。多分、そんな風にしてそれぞれの響きの中で過ごしてきたからでしょう。

 その姿かたちは失われたとしても、彼らと過ごしたその瞬間の豊かさは、次につながる道へと思いを促してくれるのだと思うのです。何となくですが、心の内側はゆっくりと次の道へと向かっているような気がしています。

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by ravenono | 2010-12-31 20:11 | KOCOMATSU
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