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ここで待つ

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昨夜遅くにTさんから電話。明日、KOCOMATSUに行っても良いですかとのことでした。翌日彼が現れた時、外は再び冬のメッセージを届けに雪たちが降り積もった後でした。そこそこ降り積もった雪を、彼は黙々と汗だくになりながら除雪してくれました。

 半月ほど前でしょうか、突然電話があり、久々の会話になりました。雇用契約が切れて、就職活動に入るのだと聞いてから半年近くが過ぎて居ました。時折思い出しては、どうなったかな~と思っていましたから、まずは元気でいてくれて良かったと思いました。その会話の中で、こちらの近況を話すことになり盗難事件の流れを少し伝えました。

 数日後、彼はマイフルートを持ってやってきました。その気持ちはありがたくお受けし、丁重にお断りしました。今の彼にこそ、フルートは大切なのだと思ったからでした。たとえどんな事が起ころうと、それぞれのためのマイフルートをお作りするために手を貸す働きを与えられた事に十分感謝し満たされているのですから...。

 しばし個人レッスンをしてから帰ろうとしたTさんが、乏しい財布の中からカンパ金を置いていこうとしました。その気持ちは十分伝わったから、そのままお帰り下さいと伝えました。金銭的困難があっても、安心して顔を出せる場所にと願ってのスペースですから、当然のことでしたが、彼はこの時の事でとても感動し、「先生だって大変な時に、僕の気持ちを受け取って自分の生活を大切にしてください」と言ってくれた事で自宅に戻ってから涙が出ましたと...。その言葉を聴いた時、ほんとにお金に困って思いっきりぎりぎりの生活をしていた時を思い出しました。

 お金がなくて、どこにも行けない。何も食べられない....。身体を休めるところもない.....。孤独と寂しさでいっぱいの夜が繰り返す....。その体験がKOCOMATSUの土台の一つになっています。

 トンコリを弾いたり、ドラムを叩いたり、並んでいるフルートを自由に吹いて過ごしていいよと言ってくれたので、そう言ってTさんはやってきました。内心は、仕事が長い間見つからず、生活も厳しく、心も塞ぎがちの筈です。何をやってみても、どこか心が落ち着かなく、自信を失いがちな毎日。彼のために一本のフルートを手にし、その響きが彼の全身を包み込んでくれますように...と思いを込めた響きになりました。

 帰り際のTさん「先生がこの場所を作った意味が分かりました」と言い残して帰りました。

 この内容は大きな地震の前に書き留めて居ものです。

 想像もつかないような震災が、一瞬であまりにも多くの方々の命を消し去りました。凄惨な光景を見ていると、何かをしなければという強い思いが湧いてきますが、広い視野で状況を見つめる事が大切な気がします。
 
 原発の事故処理のために全力を尽くして居る方々と、その家族。救済のために働く人々とその家族や友、遠く外国から駆けつけてくださった方々。片時も動きを休める事が出来ない、長く厳しい時間。一つの命がどれほど大切なものか、一人がどれほど多くの人々と繋がって生きているか。

 それは日々の歩みの中ではっきりとお互いの命を受け取りながら歩く事の大切さの確認にも繋がるように思います。突然の死は、いつでも、誰にでも起こります。だとしたら、今をどう生きるのか。

 まず、自分自身の足元を確かめつつ、出来る事をさせていただきたいと思います。
by ravenono | 2011-03-15 20:43 | KOCOMATSU
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