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旅の杖

今年前半のリズムはかなり変則的で、振り返ると、あまり動けなかったな~と感じています。人生全体の流れをゆっくり見れば、こういうときもあるなと云ったところです。

 何よりも気になるのは、ラブフルートの製作状況なのですが、ようやく流れ始めました。それは、KOCOMATSUでの試し吹きの動きと連動しています。本体の最終仕上げの前に、大切なチューニングの工程があります。この作業が終わると、KOCOMATSUで実際に吹いて、最終確認をするのです。

 チューニング作業は、計算したとおりに、決められた位置に決められたサイズの穴を開けて終わるように思われることも多いのですが、実際は全く違います。その訳は、規格品を作らないからです。

 一本一本が、全くのオリジナルのフルートとして旅立つようにと考えているのです。材料の切り出しから、全体の厚み、長さなど、木と出会った感覚で流れて行きます。本体の長さや厚み、全体のバランスが少し変化しただけでも、全く違った響きが生まれて来ます。

 いつも新鮮で真剣な取り組みになることが大切だと考えているのです。これはとても不合理で、時間のかかる方法です。最終的に纏まらずに作り直しになることもあります。サッサと作って、どんどん手渡せばいいのかもしれませんが..。

 ですが合理的に作られたラブフルートは、明らかに自分が作ろうとしているものとは違うのです。あるサイトでは、数本をずらっと並べて、こんなに効率良く作れますよという機械まで紹介され販売されていました。ちょっとビックリですが、アメリカでは合理性が前提ですから、手作りをされている製作家は限られています。

 一人の命の豊かさと尊さ、それを確かめ、その旅路の杖としてお渡しするラブフルート。その思いが言葉だけではなく、確かにそうなのだという小さな印の一つとして生まれてくる笛。その音色と響きを確かめるためにKOCOMATSUに足を踏み入れる瞬間は、独特の緊張感と充足感が生まれます。手にした方が、どんな風に息を注ぎ、どんな響きが生まれるか、それもまた楽しみであり、喜びにもなります。

 最終段階の乾燥をし、蜜蝋で仕上げるため待っているラブフルートが6本。工房で数段階の研磨作業の繰り返しを待っているラブフルートが8本。新しい旅人たちとの出会いに備えています。彼らは、この7月いっぱいでKOCOMATSUでの最終工程を経て旅立つことになります。
by ravenono | 2011-07-02 12:53 | 響きあう
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