チェルノブイリと福島原発 レポートその5
この論文は翻訳者の了解を得て転記しています。なお、本文には添付された図式があり、その図解に関する文章がありますが、このブログでは図は省いていますこと、ご了承ください。
Annals of the New York Academy of Science 1181:303-310.2009に掲載された論文 チェルノブイリ地区の放射性物質からの開放 13. Decorporation of Cherrnobyl Radionucleides V.B. ネステレンコ、 A.V. ネステレンコ Institute of Radiation Safty (BELRAD研究所) Belarus 要約 他国で健康管理と医療を受けるために、毎年数万人のチェルノブイリの子供達が(殆どがベラルーシ地区から)祖国を後にした。 歴史的にみても最もひどい大災害の現実をできるだけその被害を少なくするために、多くの国からの医師達は極度に汚染されたChernobly領域で働いている。 しかし、災害の現実の規模と様態はとてつもなく大きく、チェルノブイリのような大災害に対しては世界中のどの国であっても一国では長期的に対処することが不可能である。 プライベート・ファンドとイニシアチブだけでなく国連と他の国際機関を通しての援助に対しては、被害を被った国々、特にウクライナ市とベラルーシ市は感謝の意を表している。 Chernobly事故から22年後でも、ベラルーシ市、ウクライナ市、およびヨーロッパロシアのひどく汚染された地域における年間の個々の線量限度は、まさに局所的に汚染された製品を避けることができない消費のために1mSv/年を越えている。 BELRAD研究所の11年の経験は、子供達のため効果的な被曝予防のためには放射線の干渉を公式な危険限界(例えば15-20Bq/kg)の30%に設定することが必要であることを示している。 ひどく汚染されたBelarussian地域の住民の身体中のCs-137の全身蓄積を直接測定すると、公式に認められている量より年間では少なく見積っても3倍から8倍の過量を示している。 実際的には、特にアップルペクチン添加食品を摂取することによる治療効果ではCs-137の除去効果に効率的に役立っている可能性がある。 1996年から2007年に亘り160,000人を超えるBelarussianの子供達に、18日から25日の期間 にペクチン添加食品物(1日に5gを2回投与)を治療目的で服用させた。 放射性物質に汚染された食物の消費が不可避の状況下にある環境では、個々の人々の放射線防護(放射性物質からの開放)のためには、様々なペクチンベースの食品添加物と飲み物(りんご、干しぶどう、海草などの使用による)を製造し、それを応用することが最も効果的な方法の1つである。 本文 放射性物質に汚染された状況下にある住民の身体より放射性物質を減少させるには三つの方法が存在する: 一つは食べ物に集積された放射性物質量を減少させること、 二つ目は人々の身体から放射性物質の除去をさらに効率よくすること、 三つ目は人間の免疫力を刺激して更に自然治癒能力を高める方法である。 13.1. 食べ物に集積された放射性物質量の減量について 水、キノコと野菜などの食物を水に浸す、茹でる、塩漬け、および酸漬けにすることやミルクとチーズの中の脂肪を処理することで食物の中で放射性核種の量を数倍減らすことが可能である。 我々の放射線に対する抵抗力を高めることのできる食品等を食べることによって身体の持っている自然治癒能力を刺激することは非常に有効である。このような食品類の中にはフリーラジカルを消去できるビタミンA,C、それに微量ミネラルのI、Cu、Zn、Se、Co等の抗酸化作用物質が含まれている。このような食品は放射線によって生じる過酸化脂質などの組織の酸化を予防してくれる。 種々の食品やサプリメントは免疫系を刺激する、例えば小麦、海草(スピルリナ)、松葉、菌糸およびその他の植物の芽などである。 放射性核種の 排出を促すために次の三つの方法が実行されてきた(Rudnev et al.,1995;Trakhtenberg,1995; Leggett et al., 2003)。 ・ 放射性核種の排出を促進するために食べ物の安定的な要素を増やす。 例えばCsの排泄を促すにはK, Rbなど;Srの排泄のためにはCa;Puの取り込みを抑えるには 三価のFeなどである ・ 放射性核種を吸着できる食品類の開発 ・ 放射性核種を洗い流すことのできる液体で排出増加を計る;食物繊維の豊富な食品と同様の働きをするように工夫した点滴液、ジュース類や他の液体類などである 放射性汚染からの開放とは大便や尿を介して放射性核種の除去を操作する準備作業でもある。極度の放射能汚染に対する治療のためには特殊な幾つかの効果的な除去の仕方がある(例えばCsの除去には,Fe結合物質、またSrのためなどにはアルギネート類や硫酸バリウムなど;Puのためにはイオン交換合成樹脂など)。これらの方法は突然やってくる放射能汚染などに曝された場合に効果的である。しかし、極度の放射能汚染に曝されたBelarussian, Ukrainian,あるいはEuropean Russian地区によっては異なる可能性もある。 Cs-137の場合には放射能の汚染が小量であっても毎日の被爆を避けることが事実上無理となる。 Cs-137は体内には94%が食べ物からであり、5%が飲み物から、約1%が呼吸による空気から取り込まれる。 体内に蓄積される放射性核種は危険性を伴い、特に子供にとっては危険である。また、Cs-137の高いレベルで汚染されている地域産出の食品類を摂取する人々にとっては危険極まりないことになる。 放射性核種の体内取り込みは放射性に汚染された地域における公衆衛生上まことに基本的な問題ともなっている。そして、全ての可能性を有する放射性核種除去の試みが放射能被爆を軽減するために実施されるべきである。 子供の体内のCs-137の50Bq/kg蓄積が生命に関係する重要臓器に病的変化をもたらすことが明らかとなっている。例えばそれは心血管系、神経系、内分泌系、免疫系などであり、腎臓、肝臓、眼なども同様である(Bandazhevskaya et al.,2004)。 このような障害をもたらす放射能被爆レベルはChernoblyで汚染された地域であるBelarussian, Ukrainian,あるいはEuropean Russian地区では今尚そのレベルにある。このような地域に住んでいる人々に放射性核種の体内量のレベルの軽減のためにいかなる可能性を有する方法でもなぜ必要なのかという理由がここにある。 子供達が成人と同じメニューで治療された時、地域産出の食品類から汚染 される放射性核種が成人より5倍以上排出可能である。それは、子供達が低重であり体内代謝が活発だからに他ならない。田舎に住んでいる子供達は同年代の都会に住む子供達より5倍から6倍の放射性核種に汚染されている。 13.2. ペクチン含有経口摂取食品による放射性核種除去の成績 ペクチンは消化管の中においてCsに化学的にイオン結合することが良く知れれており、便の排泄量の増加をもたらす。Ukraineの放射線医学センターによる研究と成果(Porakhnyak-Ganovska,1998)、また、Belarussian研究所の放射線医学と内分泌学の専門家(Gres et al.,1997)は次のように結論をだしている。即ち、Chernoblyで汚染された地域の住民の食物にペクチンを加えた食品を摂取することで蓄積された放射性核種の効果的な排出を促進するという成績を発表している。
by ravenono
| 2011-07-12 03:03
| KOCOMATSU
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